誰かのための物語
手術は、無事に成功した。


このとき、私はもう中学生になる年齢だった。



その手術のあと、私にはさらに嬉しい報告があった。


お姉ちゃんが、結婚するというのだ。



それから月日は過ぎ、病院での生活は五年目に突入した。



お姉ちゃんは、結婚後すぐに子どもを授かり、かわいい男の子を出産した。


『かおる』と名付けられた甥っ子は、

すくすくと成長し、時々病院にいる私にも会いに来てくれた。




大きくなった彼の姿は、

私が夢の中で一緒に絵を描いていた男の子とよく似ていた。



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