誰かのための物語
男の子は、顔をかがやかせました。それは、クラスのみんなもでした。
流れは、とぎれません。
キュウジュナナ、キュウジュハチ、キュウジュキュ……。
「ヒャク!」
全員の声がそろったと同時に、「ピーッ」と笛がなりました。
「やったあ、新記録!」
「こんなに続いたの、はじめて!」
男の子も、クラスのみんなも、よろこんでいました。あれだけとんでいたというのに、まだとびはねています。
─なわをもう少しみじかく持って、たるまないようにしよう。
ひざをつかって縦に大きく回して。
それが、はじめる前、男の子がなわを持つ友だちに言った言葉でした。
「すごいよ! いつもよりとびやすかった! どうして?」
クラスメイトが、男の子にかけよって言いました。
「うん、あのね……」
男の子は、クラスの役に立てることを見つけました。
白鳥のように、仲間のことを思う気持ちが、そうさせたのです。