誰かのための物語
5
久しぶりに、図書室とは違う場所にいる夢を見た。
僕がいたのは、かおるくんといつも一緒に絵を描いている近所の公園だった。
たくさんの落ち葉が足元にあったので、季節は秋のようだ。
そこで僕はまた、あのノートを持っていた。けれど表紙には今までなかった【だれかの】という言葉が書かれていた。
いつの間に書き足したんだろう。
自分の名前を書いたらばれてしまうから、【だれかの】なんて書いたのだろうか。
僕は、ベンチに座って誰かを待っているようだった。秋の日差しが暖かい。
公園にやってきたのは、この夢を初めて見たときに出てきた転校生だった。
彼女は僕を見つけると、控えめに手を振ってくる。
僕も同じように振り返した。
白いワンピースを着ているその子は、公園を見渡してから僕に駆け寄る。
そして隣にちょこんと腰かけた。
その姿は、絵本に出てくる女の子と同じだと思った。
主人公に自分を重ねていたから、そう感じたのだろうか。
僕は女の子に促されると、持っているノートを彼女に見せた。
僕がいたのは、かおるくんといつも一緒に絵を描いている近所の公園だった。
たくさんの落ち葉が足元にあったので、季節は秋のようだ。
そこで僕はまた、あのノートを持っていた。けれど表紙には今までなかった【だれかの】という言葉が書かれていた。
いつの間に書き足したんだろう。
自分の名前を書いたらばれてしまうから、【だれかの】なんて書いたのだろうか。
僕は、ベンチに座って誰かを待っているようだった。秋の日差しが暖かい。
公園にやってきたのは、この夢を初めて見たときに出てきた転校生だった。
彼女は僕を見つけると、控えめに手を振ってくる。
僕も同じように振り返した。
白いワンピースを着ているその子は、公園を見渡してから僕に駆け寄る。
そして隣にちょこんと腰かけた。
その姿は、絵本に出てくる女の子と同じだと思った。
主人公に自分を重ねていたから、そう感じたのだろうか。
僕は女の子に促されると、持っているノートを彼女に見せた。