誰かのための物語
男の子は、みんなが跳びやすいように縄を回すことで、自分の可能性を見出した。


僕は、相手チームの動きにも目を配りながら粘り強くディフェンスをすることに可能性を見出した。


その結果、僕はAチームとして練習に参加できることが多くなり、全国大会予選の二回戦では途中出場することができた。

前半の終わりに一失点し、〇対一で折り返した試合。

その後半から交代出場したのだ。

初めて公式戦のピッチの芝生を踏みしめたとき、僕の心臓の鼓動は痛いほどに大きかった。

それは喜びでもあるけど、ほとんどは緊張だった。


その景色は、普段の練習のそれとなにもかもが違っていたから。

コートがとにかく広く感じ、周りの声は遠く聞こえた。

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