誰かのための物語
8
終業式のあとも、サッカー部は練習を行った。
今日は、ずっとBチームでの練習だった。
僕は試合で感じた自分の課題に意識を集中させた。
自分のチームが攻撃に転じるとき、守るだけではなく僕もゴールに向かわなくてはいけないのだ。
その気持ちはあるのだが、技術がその気持ちに追いつかなかった。
ボールを奪っても、そのあとのパスがうまく通らない。ドリブルでも相手を抜けない。
そんな調子で僕は、チャンスを活かしきれずにいた。
Bチームはその日、得点を入れることができなかった。
「日比野、これからどうする?」
練習終わりに相良が声をかけてきた。
「もうちょっと練習していこうかな」
「がんばるね」
相良はそう言いながらも、付き合うよ、と言ってボールを用意した。
「パスの練習だろ?」
「……よくわかるね」
相良には、なんでもお見通しだなあと僕は思う。
今日、あれだけ失敗していたんだから、当たり前か。
「まあね」
今日は、ずっとBチームでの練習だった。
僕は試合で感じた自分の課題に意識を集中させた。
自分のチームが攻撃に転じるとき、守るだけではなく僕もゴールに向かわなくてはいけないのだ。
その気持ちはあるのだが、技術がその気持ちに追いつかなかった。
ボールを奪っても、そのあとのパスがうまく通らない。ドリブルでも相手を抜けない。
そんな調子で僕は、チャンスを活かしきれずにいた。
Bチームはその日、得点を入れることができなかった。
「日比野、これからどうする?」
練習終わりに相良が声をかけてきた。
「もうちょっと練習していこうかな」
「がんばるね」
相良はそう言いながらも、付き合うよ、と言ってボールを用意した。
「パスの練習だろ?」
「……よくわかるね」
相良には、なんでもお見通しだなあと僕は思う。
今日、あれだけ失敗していたんだから、当たり前か。
「まあね」