恋人は魔王様
殺人、っていうと。

あの、渡辺先輩を殺した犯人ってこと?


まだ、警察にマークさえされてなさそうだったのに?


状況が呑み込めず、バカみたいに口をパクパクさせている私を見て、キョウがやれやれと肩をそびやかす。


パチリ


指が鳴って、私はまたキョウの部屋へと舞い戻っていた。

こんなに簡単に行き来出来るのに、今、私を無駄に歩かせた真意は何?


睨む私に気付かないふりを決め込んで、キョウはいつの間にか現れ、ひざまづいているジュノに目を向けた。

「アイツはどうなった?」

「呆気ないものでした。闇の牢獄に閉じ込めてものの数分で全て吐きましたよ」

涼しい顔で答えると、ジュノが私に目を向けた。

「ユリア様、これでは二時間ドラマにもなりませんね」

「そうね」


確かに。
私にはまだ何も分からない。

分かったことは、キョウは正真正銘の悪魔で、自分が気に入らないことがあれば簡単に私や人を狂わせることができるということくらいだ。


……まったくもって、ロクデモナイ以外の言葉が全然思い浮かばないっ
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