恋人は魔王様
真っ赤になって黙ってしまった私のことを見て、キョウは甘く微笑んでいる。
きっとあれよ、この子可愛いなーなんてこと考えているんだわ。
ようやく素直になってくれて☆とか。
やばい。
それでなくてもストーカー宣言された直後なのに。
でも、訂正するとしても他に適切な表現も見つからなかった。
アンフェアだと思う、とか言っても。
そもそも、魔王などという存在が私の人生にずかずかと乗り込んできたこと自体がアンフェアなわけで。
「ユリアはやっぱり可愛いな。このまま返すの寂しくなった。やっぱり今から愛し合う?」
耳元に注がれるのは、甘い声音で下卑た台詞。
「No,Thank you」
うっかり私の口をついて出たのは、なぜか英語だった。
パニックになると、いろんな言語や聞きなれたお笑い芸人のきめギャグが口をついてでてくるものなのだ。
仕方がない。
「つれないな。
照れちゃって」
もう、それでいいです。
そのキャラでどこまでもいっちゃってー!
諦めた私の手を、キョウの手ががしりと握り締める。
「そんな可愛い子には、とっておきをあげる」
パチリ、と、指を鳴らすと、彼は黒曜石をあしらった素敵な指輪をその手に取り出した。
結婚式の花婿よろしく、丁寧に私の左手薬指にその指輪をつけてくれる。
「困ったときは、この指輪に囁きかけるといい」
「あ、ありがとう……」
どうして良いか分からずに、私は俯いてしまう。
駄目駄目。
これじゃ感激して涙ぐんでる花嫁みたいじゃない!!
心の中で、自分に駄目だしをしてみても、身体はちっとも言うことをきかなかった。
きっとあれよ、この子可愛いなーなんてこと考えているんだわ。
ようやく素直になってくれて☆とか。
やばい。
それでなくてもストーカー宣言された直後なのに。
でも、訂正するとしても他に適切な表現も見つからなかった。
アンフェアだと思う、とか言っても。
そもそも、魔王などという存在が私の人生にずかずかと乗り込んできたこと自体がアンフェアなわけで。
「ユリアはやっぱり可愛いな。このまま返すの寂しくなった。やっぱり今から愛し合う?」
耳元に注がれるのは、甘い声音で下卑た台詞。
「No,Thank you」
うっかり私の口をついて出たのは、なぜか英語だった。
パニックになると、いろんな言語や聞きなれたお笑い芸人のきめギャグが口をついてでてくるものなのだ。
仕方がない。
「つれないな。
照れちゃって」
もう、それでいいです。
そのキャラでどこまでもいっちゃってー!
諦めた私の手を、キョウの手ががしりと握り締める。
「そんな可愛い子には、とっておきをあげる」
パチリ、と、指を鳴らすと、彼は黒曜石をあしらった素敵な指輪をその手に取り出した。
結婚式の花婿よろしく、丁寧に私の左手薬指にその指輪をつけてくれる。
「困ったときは、この指輪に囁きかけるといい」
「あ、ありがとう……」
どうして良いか分からずに、私は俯いてしまう。
駄目駄目。
これじゃ感激して涙ぐんでる花嫁みたいじゃない!!
心の中で、自分に駄目だしをしてみても、身体はちっとも言うことをきかなかった。