恋人は魔王様
そんな私の心の叫びは当然のごとく一切無視して、

「人間って老化も早いけど、それってつまり成長が早いということだもんなぁ」

と、なんだか感慨深げに呟いている。

「で、結婚って、何すること?」

私は真顔で聞いてみた。
仮にも、トカゲの血を飲んで三々九度を行う、とか言い出されたら断固拒否!な気持ちをこめて。

キョウは、形の良い唇に悪戯を思いついた悪がきの笑みを浮かべ、私の耳元に唇を寄せる。

「朝から夜まで毎日毎日二人で愛し合って、可愛い子供を成すことだよ☆」

…………
いろんな意味で、断固拒否!


「あ、でも俺としてはしばらくはユリアが妊娠しなかったらいいのになーって思うんだけど。ねぇ?そのほうが楽しい期間が長いよね?排卵日を外せば大丈夫かなぁ。ユリアの排卵日っていつ?」





私は、言い返す気力も失って、がっくりと項垂れた。

「おやおや、照れちゃって。
本当にユリアは可愛いんだから」

とかなんとか言っている艶やかな声は、当然のごとくスルーさせてもらう。

「と、とりあえず人間界に戻って、探偵ごっこやってこないといけないし」

私はこめかみを流れる嫌な汗を拭って、なんとか笑顔を整えて見せるのが精一杯だった。

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