恋人は魔王様
◇◆◇◆◇◆◇

それは昨日のことだった。

「ねえ、そこの可愛い彼女☆」

学校からの帰り道。
私は俯いたまま、早足に変な男の傍を通りすぎようとした。

「彼女ってば」

軽い口調で腕を掴まれ、私は仕方なく振り向いた。


「離して下さいっ」

と顔を見た相手が、あまりにも格好よくて、うっかりほんの一瞬見惚れてしまった。
もちろん、その翌日にさらにかっこいい何者かに突然キスされるなんて、その時の私には知る由もなかった。


知ってれば、より警戒出来たんだけど。


「もちろん、話すために呼び止めたんだよ☆」

彼はにこりと人懐っこい笑みを浮かべた。


いやいやいや。

話して下さいって、この状況で叫ぶ人はいないでしょ?



この、美形さん、天然?

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