恋人は魔王様
「すみませーん、いらっしゃいますよね?
中からチェーンが掛かっていたくらいですもの☆」
親友の家に遊びにきたかのような緊張感の無い声を出すジュノ。
私は、ぱきりと蝶番ごと壊れてしまった玄関のドアを、悲鳴を押し殺して眺めていたが、このままここに立っておくわけにも行かず、土足で他人の家にずかずかと上がっていくジュノの後ろに着いていった。
リビング、ダイニング、キッチン、バス、トイレ……つまりは一階全て……に人影がないのを確認して、二階へと続く階段を上がっていく。
右、左に同じつくりの部屋のドアが左右対称にあった。
突き当りには一つ、大きな部屋のドア。
左右が兄弟の部屋で、一番奥が夫婦の寝室、といったところだろうか。
不法侵入中の私はそんなことを考えてごくりと生唾を飲んだ。
「こんにちは」
私が抱える緊張感と罪悪感の、かけらすらもない様子で、ジュノが右側のドアを開ける。
そこには、制服姿のまま憮然とベッドに腰掛けている生徒会長桧垣が居た。
中からチェーンが掛かっていたくらいですもの☆」
親友の家に遊びにきたかのような緊張感の無い声を出すジュノ。
私は、ぱきりと蝶番ごと壊れてしまった玄関のドアを、悲鳴を押し殺して眺めていたが、このままここに立っておくわけにも行かず、土足で他人の家にずかずかと上がっていくジュノの後ろに着いていった。
リビング、ダイニング、キッチン、バス、トイレ……つまりは一階全て……に人影がないのを確認して、二階へと続く階段を上がっていく。
右、左に同じつくりの部屋のドアが左右対称にあった。
突き当りには一つ、大きな部屋のドア。
左右が兄弟の部屋で、一番奥が夫婦の寝室、といったところだろうか。
不法侵入中の私はそんなことを考えてごくりと生唾を飲んだ。
「こんにちは」
私が抱える緊張感と罪悪感の、かけらすらもない様子で、ジュノが右側のドアを開ける。
そこには、制服姿のまま憮然とベッドに腰掛けている生徒会長桧垣が居た。