恋人は魔王様
ついでに、と、キョウが靴やバッグまで見繕っている間に、女性店員がコーヒーを持ってきてくれた。
言語が通じないのを見ると、英語に切り替えてくれる。
良かった、私、英語だったら喋れるのよね。
流暢に、とまではいかないまでも。
「あなたの恋人なの?とっても素敵だわ」
違うというのも憚られるので、
「そうなの、ありがとう。でも、彼、何て言ったのかしら?
私、英語と日本語しか分からなくって」
と、聞いてみた。
「今すぐランチに行きたいから、自分と彼女に見合う服を準備してくれって。
金額に糸目はつけないが、似合ってないものはいらない。
そう言ったのよ。羨ましい」
と、彼女が教えてくれる。
丁寧な物腰、ミニスカートから覗くすらりとした長い足。
何よりも親しみやすい笑顔が、とても、悪魔にはみえない。
ここはどこ?
と、聞いてみるべきかどうか。
つい逡巡してしまう。
その間に、キョウは平然とした顔で私に靴とバッグを購入して渡してくれた。
有名なロゴの入った紙バッグにセーラー服を入れてもらい、すっかり変身した私はキョウと一緒にその店を出た。
「どこに行くの?」
私の質問に足を止めたキョウは、振り向いてまた悪魔的な笑いを浮かべた。
「Alla Madonna」
残念ながら、その耳慣れない言葉は私の耳には認識されない。
「もうっ」
膨れる私に
「教えたよ?」
と、得意げに笑うキョウ。
街行く人さえ振り返るほどの美貌の持ち主ではあるのだが、出来ればいますぐ、羨望の眼差しで彼を見ているそこのお姉さんにコイツを押し付けてやりたい!と、私は念じてしまうのだ。
言語が通じないのを見ると、英語に切り替えてくれる。
良かった、私、英語だったら喋れるのよね。
流暢に、とまではいかないまでも。
「あなたの恋人なの?とっても素敵だわ」
違うというのも憚られるので、
「そうなの、ありがとう。でも、彼、何て言ったのかしら?
私、英語と日本語しか分からなくって」
と、聞いてみた。
「今すぐランチに行きたいから、自分と彼女に見合う服を準備してくれって。
金額に糸目はつけないが、似合ってないものはいらない。
そう言ったのよ。羨ましい」
と、彼女が教えてくれる。
丁寧な物腰、ミニスカートから覗くすらりとした長い足。
何よりも親しみやすい笑顔が、とても、悪魔にはみえない。
ここはどこ?
と、聞いてみるべきかどうか。
つい逡巡してしまう。
その間に、キョウは平然とした顔で私に靴とバッグを購入して渡してくれた。
有名なロゴの入った紙バッグにセーラー服を入れてもらい、すっかり変身した私はキョウと一緒にその店を出た。
「どこに行くの?」
私の質問に足を止めたキョウは、振り向いてまた悪魔的な笑いを浮かべた。
「Alla Madonna」
残念ながら、その耳慣れない言葉は私の耳には認識されない。
「もうっ」
膨れる私に
「教えたよ?」
と、得意げに笑うキョウ。
街行く人さえ振り返るほどの美貌の持ち主ではあるのだが、出来ればいますぐ、羨望の眼差しで彼を見ているそこのお姉さんにコイツを押し付けてやりたい!と、私は念じてしまうのだ。