恋人は魔王様
「ユリアも家に帰るといい」

キョウはどことなく疲れた感じでそう言った。

「でも」

私は何だか胸の置くで鳴っている警報みたいなのが無視できなくて、キョウを仰ぎ見た。
にやり、と、彼の唇が隠微な陰を乗せて笑う。

「そんなに俺とヤりたいの?」

ちちちちち、違います。
人を淫乱見たく言うのはやめて!!

私は慌ててぶるぶると、首を横に振る。

「じゃあ迷うことはない。
俺の気が変わらないうちに帰るんだな」

「次は、次はいつ逢える?」

私は思わずキョウの手を掴む。

なんでだろう。
もう、二度と逢えなくなる様な気がした。

「さぁ」

キョウは天井を仰ぎ見た。
そして、いつものような正体の見えない、不敵な笑いで私を見る。

「ユリアが抱きたくなったとき、かな」

「もうっ」

私もいつものように笑うしかなかった。
胸騒ぎは所詮、胸騒ぎでしかない。

触れ合うだけのキスをして、直後、私は自分の部屋のベッドの上に一人で居た。


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