恋人は魔王様
以下、再びジュノの話の続きを纏めてみるとこうなる。
時折(カッコ)のなかに入っているのは私のぼやき。

++++++++++

『お前、警察の人間?』

颯太がそう聞いてきたのも無理はない。
内部事情に詳しすぎる。

が、ジュノはこれまた紫煙をくゆらせたきり、答えない。(「本当、俺ってハードボイルドっぽくってかっこよくない?マジ、フナコシさんから主役の座奪えないかなぁ?」と、そこでわざわざ話の腰を折って目をきらきらと宝石並みに輝かせながら私に問うジュノの質問には、私はもちろん答えない)

痺れを切らした颯太が、再びその瞳から人間の色を無くす。
ジュノはそれを見て背中が快感で粟立つのを感じた。

『別に俺が何であれ、お前の自殺を邪魔するモノじゃないことだけは確かだな』

二時間ドラマの主役には不釣合いな、冷酷な言葉。

『兄さんっ』

屋上のドアが開いて、息を切らした少年の声が響く。

『亮介?』

颯太が少年、こと弟の桧垣亮介に目をやった。
ジュノは驚きも、振り向きもせずに短くなった煙草をコンクリートの床に投げ、靴の裏で踏みつけた。

もちろん、これも全て演出(という名の個人的趣味)のためにジュノが呼び寄せたものだった。
やはり、二時間ドラマの最後は崖の上、もしくは校舎の上じゃないとツマラナイ。(……えーっと、話の続きが気になるので私はもう何も申しません。悪魔って本当、細かいところは律儀だよね)




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