恋人は魔王様
「ユリア」
車のドアが開かれたのと、キョウの声が聞こえたのはほぼ同時で。
彼は嬉しそうな笑顔を浮かべて、車から出した私を抱きしめた。
「ママは、なんて?」
まぁ、京極という苗字が好きなママがキョウとの結婚に反対するわけもないんだけれど。
「二度と娘を泣かせるなって言われた」
「で?」
「もちろん、二度と泣かせないよ?
ベッドの中、以外ではね」
……はい、エロ魔王確定。
私は心の中で肩を竦めるが、実際は抱きしめられていて肩を竦めることも出来ない。
「私、嫌よ?
これからずっと魔界で暮らすなんて」
「もちろん。
俺がこっちで暮らしてあげる。
よろしくね☆奥さん」
………………。
夏を感じさせる風が、私の黒髪を浚っていく。
これが世に言うハッピーエンドなのかどうか。
私にはまるで見当もつかないけれど。
すっかり慣れたキョウの腕の中は、実のところ、とてつもなく居心地が良くて。
頷く以外の術が、まるで思いつかなかった。
私から重ねた唇は、悪魔とキスしているなんて思えないほど。
とても、とても柔らかく。
とびきり甘い、味がした。
【了】
車のドアが開かれたのと、キョウの声が聞こえたのはほぼ同時で。
彼は嬉しそうな笑顔を浮かべて、車から出した私を抱きしめた。
「ママは、なんて?」
まぁ、京極という苗字が好きなママがキョウとの結婚に反対するわけもないんだけれど。
「二度と娘を泣かせるなって言われた」
「で?」
「もちろん、二度と泣かせないよ?
ベッドの中、以外ではね」
……はい、エロ魔王確定。
私は心の中で肩を竦めるが、実際は抱きしめられていて肩を竦めることも出来ない。
「私、嫌よ?
これからずっと魔界で暮らすなんて」
「もちろん。
俺がこっちで暮らしてあげる。
よろしくね☆奥さん」
………………。
夏を感じさせる風が、私の黒髪を浚っていく。
これが世に言うハッピーエンドなのかどうか。
私にはまるで見当もつかないけれど。
すっかり慣れたキョウの腕の中は、実のところ、とてつもなく居心地が良くて。
頷く以外の術が、まるで思いつかなかった。
私から重ねた唇は、悪魔とキスしているなんて思えないほど。
とても、とても柔らかく。
とびきり甘い、味がした。
【了】