恋人は魔王様
その涙に引きずられるように、さらに涙が溢れてきた。


「ユリア、入るよ」

泣き出した私に気付いたキョウが部屋に入ってきて、そして、私を抱きしめた。
そっと宥めるように背中を撫でる。

それは確かに心地よかった。
こんな恋人に、確かに憧れていた。



「どうした?」

耳に響く甘い声。

・・・・・・

私は思わず言葉をなくす。

そっちが元凶ですから!!

「キョウのことが分からないのっ。魔王様ってどういうこと?」

なるべく誤解の無い様、言葉を選ぶ。



くすり、と、笑い声が漏れた。

「何?」

訝しげに顔を上げる。

綺麗な指先でそっと私の頬を拭いながら、ふわり、と、甘い微笑を零すキョウ。



これって、反則じゃない?

私の心臓は、やたら早く鳴り始める。



遠慮もなく、そんな私の頬に軽く唇づけ

「やっと俺に興味を持ってくれたんだ。
 嬉しいよ」

と、かすれるほど低い声でささやくキョウ・・・・・・




って!!
結局何も伝わってない気がするーーーっ





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