恋人は魔王様
「何も賭けないっつーのっ」
駒を並べようとしていた私は手を止めて言った。
「つまらん」
キョウはやる気がないことを示すためか、頭の上で両手を汲んでソファにもたれた。
私は駒を並べながら、キョウに言う。
「どうして魔王様がここに現れたのか、教えてくれる?」
とりあえず、キョウが何者(の設定)だとしても、それを確認しておかないと私も立ち振る舞い方が分からない。
ドッキリテレビのスタッフは、撮影を忘れてしまったのだろう。
私はそう決め付けて、キョウを真正面から見据えた。
端正な顔立ち。
モデル並みのスタイルのよさ。
圧倒的な存在感。
……隣に居たほうが良かったかもしれない。
気圧された私はうっかりため息を漏らした。
黒曜石のようなキョウの瞳が冷たく輝く。
それだけで心臓を鷲掴みにされたような息苦しさを感じる。
これがトキメキというものなのか、
切なさと言った類のものなのか、
はたまた、ただ雰囲気に呑まれているだけなのか、
恋愛初心者の私には、ちっとも判別がつかない。
けれど。
キョウの瞳に映っている私は、心なしか夢見る女の子の顔になっているようでもあった。
パチリ、と、キョウが指を鳴らす。
刹那。
窓も締め切っている部屋の中に風が吹き、
先ほどの、運転手が笑顔で現れたのだ―――
駒を並べようとしていた私は手を止めて言った。
「つまらん」
キョウはやる気がないことを示すためか、頭の上で両手を汲んでソファにもたれた。
私は駒を並べながら、キョウに言う。
「どうして魔王様がここに現れたのか、教えてくれる?」
とりあえず、キョウが何者(の設定)だとしても、それを確認しておかないと私も立ち振る舞い方が分からない。
ドッキリテレビのスタッフは、撮影を忘れてしまったのだろう。
私はそう決め付けて、キョウを真正面から見据えた。
端正な顔立ち。
モデル並みのスタイルのよさ。
圧倒的な存在感。
……隣に居たほうが良かったかもしれない。
気圧された私はうっかりため息を漏らした。
黒曜石のようなキョウの瞳が冷たく輝く。
それだけで心臓を鷲掴みにされたような息苦しさを感じる。
これがトキメキというものなのか、
切なさと言った類のものなのか、
はたまた、ただ雰囲気に呑まれているだけなのか、
恋愛初心者の私には、ちっとも判別がつかない。
けれど。
キョウの瞳に映っている私は、心なしか夢見る女の子の顔になっているようでもあった。
パチリ、と、キョウが指を鳴らす。
刹那。
窓も締め切っている部屋の中に風が吹き、
先ほどの、運転手が笑顔で現れたのだ―――