恋人は魔王様
「天界、がある」

キョウがぼそりと言った。

これはいわゆる、宗教観の違いというヤツではないかしら?

天界なんて存在を信じることが出来るのは、少なくとも、クリスマスにチキンを食べながらキリストを想い、年末にお寺で除夜の鐘を鳴らし、その翌日、年が明けたらすぐに神社で一年の無事を祈るような民族ではないはず。


「魔界、天界、人間界」

私は頭を整理しようと繰り返した。

なんていうか、何の為にそこまで大きな世界設定をしたのか、不思議に思う。

とはいえ、ここで話をやめるわけにもいかない。


「で、人間界で私を選んだ理由は?」

「ユリアが望んだ」

「私が?」

キョウの言葉に私は目を丸くする。


素敵な彼氏が欲しい、と言ったことがこんなにも大きなことになるとは思わなかったんだもん。




いったいどんな企画なんだろう。
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