恋人は魔王様
「えっと、彼がお探しの」

私は刑事さんに伝える。
出来れば直接話して頂きたいと思いながら。

「はあ」

二人とも完全にキョウに気圧されていた。


「ユリア」

キョウの方は二人を気にすることもなく、後ろから私を抱き締める。


まままま、待ってよ!


焦った私はもがいてみるが、全然動けない。

「誰、こいつら」

耳元に囁かれるのは痺れるような甘い声。

「刑事さん。今日うちの高校で殺人事件が起きたんだって。その件でキョウに話が聞きたいみたいだよ?」

私は脈拍の上昇を誤魔化そうと早口で説明する。


「殺人、ねえ」


キョウはつまらなそうに言うと、突然その大きな手で私の目を覆った。


ううっ
手の平のひんやりした感覚にさえ、トキメキそうな私の心臓をなんとかしてっ!
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