恋人は魔王様
どうしよう。
どうしよう、どうしよう。


私は、とりあえず真似をしてみることにした。
そうそう。
キョウみたいに。

指をパチリと鳴らしてみたら、何か起こるかもしれないし、ね?


これほど真剣に指パッチンをしたことはたぶん後にも先にもないと思う。

手を斜め上に翳して。



パチッ



意外と、良い音が部屋に響く。


緊張のあまり、私は思わず、目を閉じた。


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