恋人は魔王様
「別にかまわないよ。
笑麗奈の頼みなんだし」

にこりとも笑わずにそういう返答を返すのが、いかにもこの人らしかった。
かわいげのかけらもない。

モデルみたい、と言えば全くそのとおりで。
正直、ナルシストで……まぁ、お互いに相手をブランド品かマスコットだと思って付き合っているに違いなかった。

そういう意味ではお似合いのカップル。

で、隣に居る桧垣に目をやる。

ジーンズにTシャツという、この中で一番文句なしに高校生らしい格好をしている彼なのだが、気の毒なほど浮いていた。

とはいえ、どこかで見たことあるような……
まぁ、同じ高校だからどこかでは見たことあるんだろうけど。

私は何かの引っ掛かりを感じながらも、笑麗奈の手前営業用スマイルを浮かべて会釈した。

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