恋人は魔王様
それにしても――

私は今日、何度目かのため息を呑み込む。

目の前には俳優のような美男美女が優雅に食事を取っている。
まるで、しもべのようにその脇に座る私と、桧垣。

っていうかね、一応念のために言っておくけど私も桧垣もものっすごい不細工ってわけじゃないのよ?!
あれ、言えば言うほど必死に感じてむなしくなるって?

じゃあ、まあ言い訳は止めておこうかしら。



とにもかくにも、こんな状況、ばかばかしくて仕方が無い。

こんなんじゃ、ただのデートの邪魔してる二人みたいんじゃない。

私、合コン経験なんてまだ、一度も無いけれど。

少なくとも、これを「合コン」というのは間違っている!ってことだけは胸を張って断言できた。

食事が終わったら絶対に別れてやるー!!

私は心の中で硬く決意して、美味しいはずのパスタを口にした。
だって、北海道産毛蟹のパスタだよ?
美味しくないはずがないじゃないっ


ああ、こんな豪華な食事の味も分からないなんて。

今後一切誰とも合コンなんてしないんだからー!!
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