恋人は魔王様
9.デート、みたいな?
「ええー、本当にもう良いの?」

笑麗奈が三度も私に聞いてきた。

「本当に、もう良いの」

私は真顔で言う。
いろんな意味で、もういっぱいいっぱいですから。

「折角この後のプランも考えてきたのにー!」

笑麗奈は唇を尖らせた。

やばい。この、フランス人形みたいな可愛い子、怒らせると後々面倒なんだよねー。

それをよくよく知っているであろう西条が助け舟を出してくれた。

「大丈夫だって。
ほら、桧垣と百合亜ちゃん、すっごく打ち解けてるじゃん?」

まだ挨拶以降一言も言葉を交わしてないというのに。
彼女と一秒でも早く二人きりになりたい男は何を口にするか分からないわね。

まぁ、この場合、私が助かるからそれでも良しとしなくっちゃいけないところが逆に腹立たしい。

「そう?私にはそうは見えないけど」

笑麗奈が訝しがる。

「そ、そうそう。さっすが西条先輩。
ほら、笑麗奈のお陰。
西条先輩も、ありがとうございましたっ」

じゃ、また明日、と。

私は強引に、話についてこれてない桧垣の袖を引っ張って、レストランを後にした。



だいたい、こいつ、なんで私と合コンしたいとか言い出したんだろう。
走りながら、胸に疑問がよぎる。
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