恋人は魔王様
…………えーっと?

ちちちちち、違います、違います。勘違いです~ぅっ!
私、別にどっかに誘ったりしてませんけど?

背中を変な汗が伝う。


が、そんな私の動揺なんかお構いなしに男の手が自然な感じで伸びて、私の肩を抱き寄せる。


あまりにも自然で、うっかり「そうそう、この人私の彼氏だ!」と勘違いしてしまいそうになるから怖い。

「歩いてく?
 それとも、車に乗る?」

えええっと、どこに向かって進まれるつもりでしょうか?

ああ、これってあれ?
新手のナンパ?
それとも、どっかのホストクラブの営業キャンペーンの一環?


女子高生はお金持ってないって!!
他の子はともかく、少なくとも携帯電話さえ持たない私は!!

「私、お金なんてありませんっ」

頭の中でごちゃごちゃと思考をめぐらせた挙句、私の口から出てきたのはそんな突拍子もない言葉だった。

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