恋人は魔王様
10.お仕置きと言い訳
コーヒーを飲み終わって、家に帰ろうという話になった。

長い一日、本当に楽しかったわー!

私は充実した笑顔でキョウを見た。

ぽん、と、キョウの大きな手のひらが私の頭を叩いた。

「楽しかった?」

こくりとうなずく。

「じゃあ」

魅惑的な瞳が私を覗き込む。



「お仕置きと言い訳、どっちが先が良い?」

ちっとも笑ってない声と、悪魔的な鋭い瞳で、キョウが言った。
ドキン、と、胸が高鳴る。



気づけばよかった。

どうして、キョウが駅に現れたのか。

考えればよかった。

どうして、桧垣はあれから消えたのか。




「……なんの、こと?」

私はぎこちなく、問う。

「そう?言い訳は後でってこと?」

温度が確実に5度下がる声で言う。
私の肩を掴む手の力が増す。

「いいよ、俺もソレ嫌いじゃないし」

キョウはぞくりとするような色っぽい笑顔で私を見て、ぱちり、と、指を鳴らした。
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