黒い怪物くん
「…矢嶋はさ、小鳥と長いんだっけ…?長い間一緒に過ごして、お互いの良いところも悪いところも知ってて…たくさん思い出あってさ」
「ふッ…後悔ばっかだぞ。治樹は俺の気持ち知っててて応援してくれり、二人になれるように協力してくれたりしたけど……上手いことやれねぇし……4年片想いしてたくせに出会って1ヶ月のお前に持っていかれるしな……それに俺…小鳥の事また泣かせた…」
なんで俺…恋のライバルの烏山とこんな事話し込んでんだ?
でも……不思議と烏山と話してると、なんだか気持ちが落ち着いていた。
「大丈夫…矢嶋と小鳥にはまだまだ時間はいっぱいがある…矢嶋が思ってるよりも二人の絆は強いと思うよ」
「付き合う寸前のお前に言われると嫌みにしか聞こえねぇよ。あんまり隙見せてたら俺が小鳥の事好きな間は奪いに行くからな?覚悟しとけよ」
そう言うと烏山は笑った。
「矢嶋はなんだかんだ言って優しいからなぁ…本当に奪いに来てくれよ。それで奪ったら…小鳥が俺の事忘れるくらい愛してやってほしい」
「あ?お、おう…?」
この時俺は烏山の言ってる意味は全く理解出来ていなかった。
烏山と話した事でだいぶ気持ちが晴れていた。
しかし、烏山は相変わらずあまり具合が良さそうに見えない。
「俺、そろそろ帰るけど…家まで送ってやろうか?」
「いいよ…帰れる。ありがとう」
「そうか?…一応、何かあったら電話しろよ」
俺は自分の携帯の番号をレシートの裏に書いて、烏山に渡した。
「…やっぱり矢嶋優しいよな」
「や、優しくねぇよ!あ!!言っておくけど、小鳥のファーストキスは俺が既に奪ってるからな!ざまぁみろ!」
俺はそう言い残して公園をあとにした。