黒い怪物くん




寝ている小鳥の顔を覗き込むと…

小鳥は寝ながら涙を流していた。

何か悲しい夢でも見てるのか?


「おい!小鳥!」

「ふえ………?大ちゃん!」

「は?ちげぇよ…何泣きながら寝てんだよ?」


起きたかと思ったら烏山の名前かよ…


いや。こんな事くらいでくじけるもんか。
これから、小鳥と烏山が付き合ったらもっと見たくない光景見させられるんだから…このくらい。


俺はまだボケーッとしている小鳥の目に溜まった涙を自分のTシャツで拭ってやった。


「烏山の見舞い行くんだろ?」

「あ…うん…どうして鷹哉がここにいるの?」

「帰ろうとしたら部室の窓開いてたから…閉め忘れたらあの口うるさい顧問にまた何か言われるだろ…閉めてやろうと思ったんだよ!いつもならシカトしてたけどな!今日くらいは…昨日のお詫びも含めてさ…」

「…ありがと!大ちゃんのお家まで一緒に帰ろっか!」

「……なんかいつもの調子じゃないと気持ち悪いな…まぁ、帰ってやってもいいけどな」



小鳥から一緒に帰ろうなんて…初めて言われた。



今更もう遅いのはわかっているけど、素直に嬉しかった。

感動していると、小鳥が窓の近くで真っ白い大きな羽根を拾い上げていた。

その羽根は真っ白で綺麗だった。



「何その羽根!すげぇ!真っ白じゃん…そんな綺麗な白い羽根なんて珍しいな。寝てる間に白い鳩でも入ってきたんじゃね?」

「…」



小鳥はその羽根を何故か切ない表情でみつめていた。
< 119 / 147 >

この作品をシェア

pagetop