黒い怪物くん




狭いカップルシートでギリギリまで離れて座る。



他のカップル達は手を繋いだり、肩を抱き寄せていたり…キスをしてる奴らまでいる。



いくらカップルシートだからって…あんなにいちゃついてんじゃねぇよ……。



すると、係員がやってきてカップルシートのエリアの前に立った。



「こちらのエリアはカップル限定エリアとなっております!皆さんがカップルである事の証明として彼氏さんは彼女さんのほっぺにキスしてください~」


!?



勝手に勘違いされたっつーのに!?



「…た、鷹哉ぁ…どうしよ…」




周りのカップル達は照れながらもキスをしていく…


早くしないと少数派になって注目される。



「…す、するぞ?カップルのふりしていいんだろ?」

「へッ…そうだけど…」

「顔動かすなよ?」





俺は小鳥のふわふわした頬に唇を押し付けた。



クソ……恥ずかしすぎる!!



「はーい!すべてのカップルさん確認出来ました!ラブラブカップルさんばかりでしたね!それでは試写会をお楽しみくださいませ~」

係員はそう言って去って行った。



「…あの…ごめんね……私が座っちゃったばっかりに…」

「……別に」


俺は小鳥がいる反対側を向いてそう言った。



顔が熱くてやばい…



やはり俺達前と少し違うよな…小鳥も何となく俺の事を意識しているようにも見える…のは自意識過剰だろうか?



もしかして…俺の気持ち小鳥にバレた?散々色んな奴等にわかりやすいとか言われてバレてきたけど…小鳥には気付かれてなかった。



でも…一回小鳥の事襲いかけたしな…あれでバレたのか?
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