黒い怪物くん


教室だと思われる方向に向かう途中の事だ。

反対側からキョロキョロしながら女子が歩いてくる。


お…結構可愛い…。


一瞬目が合って話し掛けられるのかと思ったが、そのまますれ違った。


話し掛けられるわけないよな…


クイッ

制服の袖を突然後ろから引っ張られる。


「…あ…あの!一年生の教室どこですか!?迷っちゃって…」


その女子は目に涙を溜めて、俺に話し掛けてきた。


「は…?お、俺も一年だから知らねぇけど…案内はそっちって書いてあったよ」

「あれ…一年生だったんだ!小学校違う人?」

「うん…隣りの学区の小学校通ってた」

「そうだったんだぁ!あっ!私、木下小鳥って言います!よろしくね」


その子は可愛い笑顔を俺に向けた。


……なんだ?…胸の奥がざわざわする。


「俺は…矢嶋鷹哉…です」

「鷹哉ぁ?」

「…うん」

「一緒に教室行って良い?」

「いいよ」


女子と話す時に、こんな緊張した事あったか!?


なんなんだよ…
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