黒い怪物くん
「位置について。よーい……スタート!」
俺は全力で走り出した。
俺の速さに追いつけるわけないだろ…
あれ!?なんでこいつ並んでるんだ!?俺のスピードに着いてきてる!?
むしろ向こうの方が…?いや!そんなわけねぇよ!
最後まで全力を尽くした。
ピピッ…ピピッ
「矢嶋君7秒01……木下君6秒98」
「!?」
「治樹すげー!6秒代だって!」
「さすが毎年運動会でリレーアンカーやってるだけあるな!」
「いや…鷹哉が速かったからだよ。速い人と走るとタイム上がるから…鷹哉、誘ってくれてありがとう。鷹哉から声掛けてくれて嬉しかった」
治樹は俺に握手を求めてきた。
俺はそれに応じるわけがない。
「……ふん!」
クソ!
何でも良いから治樹に勝ちたい…。