黒い怪物くん
「鷹哉」
「あ?」
歩いていると、治樹に突然呼ばれた。
そして小声で言われる。
「…俺達はぐれたふりするからさ、小鳥と二人になってみたら?」
「二人!?い、いや!いい!」
二人になったところで、俺がうまいこと出来ると思ってんのかよ!?
「グズグズしてると他の奴に取られるかもよ?」
「あんなお子様狙ってる奴なんかいねぇよ!」
「それはどうだろう?中学の時はみんな鷹哉の気持ち知ってたから誰も小鳥に近付かなかったけど、もうそうはいかないと思うけど」
「な、何でみんな知ってんだよ!?」
「だから…鷹哉がわかりやすいから」
輪から外れて、治樹と話していると。
「木下さん、人多いから離れないようにな?」
「うん!ありがとう」
彩美狙いじゃない方!
小鳥の背中に手を添えている…。
っつーか彩美はどこ行ったんだ?
「小鳥~!りんご飴買って来たよー」
一人で焦っていると、彩美がりんご飴を持って戻って来た。
少しホッとする。
「わぁ!ありがとう!じゃあ、今度は私があんず飴買ってくるね」
「あ、じゃあ俺も一緒に行くよ」
「オイ!あんず飴は俺の担当だ!お前らには行かせない!」
「えー?いつ鷹哉がそんな担当になったの?」
「うっせぇ!っつーか!飴ばっか食い過ぎだろ」
俺は小鳥とそいつが二人きりになるのを防いでやった。
あんず飴を1人で買いに行く。