黒い怪物くん
烏山が転入して来た次の日。
俺はいつもと同じ時間に家を出て治樹と小鳥が来るのを待っていた。
いつも通り治樹と、小鳥がやってくる。
「鷹哉おはよう。今日も小鳥の事待ってたんだ?」
「そ、そんなわけねぇだろ!今日もってなんだよ!?いつも待ってねぇよ!」
「あ!そっか…いつも意地悪する為に待ち伏せしてたんだ!どこまでも意地悪!」
「あん!?お前に意地悪するために待てるほど俺は暇じゃねぇよ…っつーか、今日髪型完璧じゃね?」
今日の小鳥の髪型はいつも学校の時にはして来ないような完璧な髪型だった。
…もちろんそれに俺の心臓は弾んでいたわけだけど、なんとなく違和感を感じていた。
「ふふん!これが女子力!」
「治樹にやってもらってる分際で偉そうに女子力語ってんじゃねぇよ」
「そうだ…鷹哉」
いつもの小鳥とのやり取りをしていると、治樹が珍しく真剣な表情で俺を見た。
「なんだよ?」
「小鳥の事あんまりイジメるなよ?」
「今更改まって言う事じゃ…」
「いつも言ってるけど、今日は忠告。聞いといた方が良いと思うけどね」
治樹はにっこり笑ってそう言ったが…目は笑っていない?
忠告と言って俺に何かを伝えたいように見える。
「……な、なんだよ!?忠告って」
「じゃあ、彼女待たせてるから」
治樹はそう言って行ってしまった。
……何が言いたいんだ?
いつもの治樹の注意ではない事に、少し不安を覚えた。