黒い怪物くん
自販機の横のベンチに座り込んで今までの自分を反省した。
今更反省したところで何にもならないのはわかってるけど…
「鷹哉」
声を掛けて来たのは治樹だった。
「……わりぃ…治樹の忠告聞けなかった…」
治樹は黙って隣に腰を下ろした。
「…俺は中学の時から鷹哉の小鳥への気持ち知ってるし、鷹哉の良い所も悪い所も知った上で鷹哉なら小鳥の事大事にしてくれるはずだからずっと鷹哉の事応援してた」
「…」
「だからって贔屓はするつもりないよ。小鳥が大悟の為に可愛くしてほしいって言えばしてやるし、大悟と付き合う事になったら一緒に喜んであげるつもりだよ。でも、こんなに長く片思いしてたんだからさ……その気持ち無駄にはしてほしくない」
「……治樹…ずっと応援してくれてありがとな………俺、小鳥の事になると好き過ぎてダメだ……不器用でごめん。とりあえず……小鳥に謝って来るわ。普通の事から始める事にする」
「…うん」
俺は立ち上がってもう一度手芸部の部室を覗いて見るが、もう小鳥達はいなかった。
そして急いで教室へと向かった。