黒い怪物くん
「…ーーーり!おい!小鳥!」
「ふえ………?大ちゃん!」
「は?ちげぇよ…何、泣きながら寝てんだよ?」
……鷹哉?
ここ…部室…私…部室で寝てたの?部室鍵…何で握り締めてるんだろう?
さっきの…夢?
鷹哉は学ランの下に着てるTシャツで私の目に溜まった涙を拭ってくれる。
「烏山の見舞い行くんだろ?」
「あ…うん…どうして鷹哉がここにいるの?」
「帰ろうとしたら部室の窓開いてたから…閉め忘れたらあの口うるさい顧問にまた何か言われるだろ…?閉めてやろうと思って…いつもならシカトしてたけどな!今日くらいは…昨日のお詫びも含めてさ…」
「…ありがと!大ちゃんのお家まで一緒に帰ろっか!」
「……なんかいつもの調子じゃないと気持ち悪いな…まぁ、帰ってやってもいいけどな」
立ち上がって窓を閉めようとすると窓の下に白い羽根が落ちているのを見つけた。
その羽根は真っ白で…綺麗だった。
「何その羽根!すげぇ!真っ白じゃん…そんな綺麗な白い羽根なんて珍しいな。寝てる間に白い鳩でも入ってきたんじゃね?いや、鳩にしては羽根デカイな…」
「…」
私は窓を閉めて、その白い羽根を大ちゃんがいつも座ってる席に置いて部室を後にした。