黒い怪物くん



写真に写っていたのは大ちゃんの面影がハッキリある男の子…。




それを見て、私と鷹哉は言葉を失った。



「………どういうことだ…?」

「あれ………私…この男の子…会った事ある…」


そうだ……


「10年前。公園でカラスに襲われた時にあのカラスを追い掛けていた男の子だ…」

「公園でカラスを追い掛けてた!?そんなはずありません!大悟は生まれつき体が弱くて…走る事…出来なかったんです…」

「す、すいません!変な事言っちゃって…人違いですよね」


うわ…私…ご家族が亡くなった人に最低な事…


「……いえ。こんな事…きっと誰も信じてもらえないと思って人に話した事なかったんですが…聞いてもらえますか?」

「はい」


「うちの庭にはカラスの巣がありました。
ある日巣から落ちてしまったカラスの雛を保護していたんです。
外に遊びに行けない大悟はカラスの雛にかーちゃんという名前を付けて家族の誰よりもカラスを可愛がっていました。あの子なんでも名前付ける時名前の頭文字を伸ばしてちゃんと付けてたので…カラスは飛べるようになって、外に離しましたが大悟に懐いていたのでよく庭に遊びに来ていたんですが…大悟が入院してからは来なくなりました。大悟が亡くなった日。恐らくそのカラスでしょう。窓の外に来ていて…カラスが飛び立って行った後を大悟が追い掛けて行ったような気がしたんです」


私はその話を聞いて、信じられない様な事だけれど……10年前のあの男の子が大ちゃんだという事を確信した。


「このような不思議な話はよく聞きますよね。今の歳になってあなた達のクラスメートとして大悟が現れたのにも少し思い当たる事があります」



10年前の事は大ちゃんの魂だったかもしれないという想像は出来たけど、それじゃあ、大きくなった姿の大ちゃんは一体…


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