[BL] ずっと君の側に
千歳は、少し口を尖らせた。
「友達ねぇ、親しい間柄の友人だと思ってたのに、友達。
幸(幸之助)の中では俺なんてそんなもんか」
「えっ、拗ねる所、そこ!?
いや、ちゃんと親友だと思ってるって」
「本当か」
「あぁ、思ってる」
千歳は、直ぐに機嫌を直した。
「まぁ、俺は、構わねぇよ。
今週はほとんど仕事を入れてないんだ。
その代わり、来週辺りは忙しいけど」
「本当か!? 良かった~」
ちょっと、待てよ。
なんか、嫌な予感が――。
「なぁ、そこのヘタレ君」
「ヘタレじゃねえけど、何?」
「俺も行くの?」
「まぁ、そうなるかな」
やっぱり、そうだ。
面倒臭いなぁ~。
「政晴、頼まれてくれないか?」
鋭い眼差しは、
俺を見るときだけ優しくなる。
「うん、分かった」
「マジで、ありがとう、五条!」
あっ、一つ聞き忘れたことがあった。
「あとさ、委員長さんと怜奈、ちゃんって誰」
「えっ、あの、中前怜奈(ナカマエ レイナ)だぞ」
「……、?」
「マジか~。
まぁ、優しくて、先生や先輩、後輩にも気の使える、可愛いって言うより美人な子なんだ。
それに、学年もトップの成績!
はぁ、本当に才色兼備っていう言葉を具現化した存在なんだよ」
何て言うんだっけ、こう言うの?
ぴったりな言葉があったような――。
「あっ、無謀で不毛な恋か」
「うぅ」
西島は、手足を床についた。
「あれ、どうした」
「フッフッ、政晴、フッフッ」
千歳は、ツボに入ったのか、笑いが止まらないようだ。
「そんな的確に、言ってやるなよ。
無謀で不毛な恋だが、こいつは頑張ってるんだから」
「千歳も笑うなよ。
そんなの自分が一番分かってるんだよ」
「やらないで後悔するよりやって後悔しまくりたいんだよな。
だったら、さっさと玉砕してこい。
俺は、慰めたりするのは面倒だから勝手に落ち込んでてくれ」
ハニカムような笑顔で西島に言った。
「千歳って、小綺麗な顔して、考えがたまに酷いって言うか、ドSで鬼畜なんだよな」
「今に始まったことでは無いだろ」
「はいはい、そうでした」
千歳は、楽しそうにしていた。
「それで、委員長さんって」
「政晴、去年も一緒で委員長も引き続きやってくれてる子だよ。
実川 唯花 (サネカワ ユイカ)」
「俺は興味が無いものは覚えない」
「相変わらず、マイペースだな」