[BL] ずっと君の側に
――帰り道――



「ねぇ、千歳、泣いた」


「泣いてねぇ」


「じゃあ、何で、目赤いの?
どうして、そんなに不機嫌なの?」



そんな風に聞かれても、自分でもこんなこと初めてでよく分からねぇ。



「その人の事を想えば、恋の花が咲き
その人の事を想えば、憎しみの花が咲くんだ」


「ちょっ、怖いこと言わないでよ」


「不安だったんだ。
実川さんと良い感じになってたから、好きになったんじゃないかって――。

それに、お前みたいな良い奴を他の奴が放っておくわけない」


「そうかも、実際に告白されたし
でも、俺、千歳以外の人は眼中に無いよ。

千歳と一緒じゃないとつまらないし」



全く、こいつは――。



頭にぽんっと手をおかれた。



「不安にさせて、ごめん。
俺、鈍感だから、そう言うことは、
ストレートに言ってくれると助かる。

好きな人が元気無いと俺、可笑しくなる。
何かしたのかとか色々考えすぎる。

もしかして、俺の頭の中、千歳でいっぱいにするためにやってる事だったりする?」



政晴は、鈍感でそれでいて天然だ。

俺には、到底言えないことをさらっと言ってしまう。


そんな、政晴が俺は、好き過ぎる。


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