[BL] ずっと君の側に
――家・リビング――



「千歳、紹介するよ。
こっちが、長女の妃菜(ヒナ)
今、出迎えたのが、次女の未羽(ミウ)」


「妃菜ちゃんに未羽ちゃん。
宜しくね」



後ろから何か落としたような音が聞こえた。



「あっ、英太(エイタ)」


「どうして、京極千歳がここにいるの?」



落とした本を拾い上げ、英太君に渡した。



「俺と政晴は、同じクラスで、仲良くしてるんだよ」


「そうなんですか」



目をキラキラと輝かせていた。



「さすが、英太だね。
俺より詳しい、テレビっ子だ」



英太君の側に行き、頭を撫でる姿は、
学校でのんびりしている時とは違い。

今は、弟を可愛がる頼れる兄だ。





――夕飯作り――



「千歳、何か、怒ってる」


「別に、怒ってないけど――。
何、怒られる理由が政晴にはあるの」


「分からないから、聞いてるんだけど」


「ちっ」



流石に、ムカつく。



「こっちは、二人きりだと思ったから、承諾したのに。

蓋を開けてみれば、
両親が旅行で居ないから、弟と妹たちに料理を振る舞って欲しい。

ついでに、面倒見ろと来た」


「だって、千歳の料理美味しいから食べさせてやりたくてさ」



そう言われると、嬉しい。

けど、不満だ。


でも、良かった所をあげるとすると――。



「なぁ、千歳。
ここにある食材切ればいいの?」


「うん、全部宜しく」



何気に、手際がいい。

それに、エプロン姿が似合う。



「ねぇ、政兄。
未羽にここ教えて」


「うん、どれ」



何か、さっきから無駄に良い兄ぷりを発揮してる。



「こうやれば、良かったの。
なんだ、簡単じゃん」


「未羽は、ちゃんと落ちつてやれば、出来るんだから、少し考えてから行動しな」


「うん、分かった」


「よし、後、少しだから、自分の力でやってみな、ねっ」



未羽ちゃんの目線の高さまで、しゃがみこんで、頭を撫でた。



「うん、やってみる」



リビングの机に戻っていった。


無駄に格好良くて、怒るに怒れない。



「いつも、こんな感じなのか」


「うん、そうだよ」


「リビング学習に、リビングイン階段。
それに、広いキッチン。
ちゃんと皆が見渡せるようになってる、
キッチンカウンター。

何か、すげぇな」


「父さんがこだわりをもって、建てた家だからね」



建築士とか、言ってたっけ。


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