[BL] ずっと君の側に
――翌日・朝――



「おい、起きろ、政晴、朝だぞ」



まだ、とても眠かった。



「あともう少し」


「はぁ、政晴は、全く」



お布団暖かくて、気持ちいい。



「政晴、布団とでも結婚するきか?」


「それいいね、俺、布団と結婚したい」



千歳は、俺の耳元まで来た。



「布団は誰とでも寝るから、俺にしとけ」




その言葉で一気に目が覚め、起き上がった。



「えっ、なにいって!」


「よし、起きたな。
顔、洗ってこいよ、朝御飯出来てるから」



千歳は、部屋から出ていった。



不意打ち、過ぎるよ。





――リビング――



顔を洗って、席についた。



「頂きます」



千歳は、先にご飯を食べながら、テレビを見ていた。

いつもは、会話があるのに、今日は、テレビに釘付けだ。


テレビに耳を傾けると――。


アナウンサーが、見ている方にコメントを宜しくお願いしますとフラれ、役者だと思われる人が番宣を始めた。


『まだ、僕の演技はまだまだ何ですけど、えっと、とても面白い――』



千歳が珍しく、舌打ちをした。



「どうしたの?」


「あいつ、また、同じこと繰り返しやがって、番宣のやり方教えたのに、全然なってねぇ。

昨日のメールの意味分かってねぇな、あいつ」


「知り合い?」


「事務所の後輩、って言っても、年は上だけど、ポンコツなんだよ、演技以外は――

分からないなら、分かんないって言えよって話だろ、そうすれば、全然怒んないのに

わかったって言ってるのに出来ねぇから怒ってるんだろ」



千歳がここまでいうの珍しい。

今をときめくさわやかイケメンって紹介されてるのに、普段は駄目なのか。

でも、仕事は出来るから人気なんだろうなぁ。



「よく、自分を悪く思う奴が多い。

自分なんてまだまだですとか、まだ演技は下手ですけど、見てくれたら、嬉しいとか――。

誰が下手なやつの演技なんて見るか!?

お前が演じる前に、その作品の原作者とか監督が色々な沢山の人が携わってる作品を愚弄するきか。

一番前にたって、代表して話す奴が卑下してどうする。

傑作です、自分も出来る限りの力を尽くしたので見てくださいの方が絶対いいに決まってるだろ。

お前を信じてキャスティングした人たちに、失礼なこというな。

あぁ、本当に、日本人の悪い癖だよ」


「相当な嫌気がさしてるね。
でも、俺もそうするかも、自信とかないし」


「自信は、自らを信じるから自信につながる。
それができなければ、何でも人に言って
信じられる人を作ればいい。

政晴には、俺がいるだろ」


「うん、そうだね」



なんか、ちょっと恥ずかしい。


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