[BL] ずっと君の側に
そのあと、質問攻めにあった。

女性のトーク力は凄いもので、圧倒されてしまった。


流石に、気を張っていて、疲れたため、

バルコニーの七つ並んでいる椅子で休ませてもらった。



「どう、うちの家族は?」



詩さんの声がして、後ろを向いた。



「あっ、やっぱり」


「やっぱりって?」



詩さんは、不思議そうな顔をして、聞いてきた。



「よく通る力強いような声質だったので、詩さんかなって」


「うちは、皆、そうだろ。
役者業やっているから」


「皆さん、よく通る声をしているんですけど、綺麗な高い声質で、詩さんは、少し低くて説得力のある声質なんだと思います」


「それは、どうも、褒めていただいて」



俺の隣にきて、隣に座った。



「うちの家族と居ると疲れるでしょ。
パワフルだから」


「確かに、そうですね。
賑やかな人たちです」


「正直だね」


「それに、理解の深い人たちですね。

いきなり、男同士で付き合ってる聞かされたら、驚かれると思っていたので――」



俺は、視線をそらして、自分の手を見るように下を向いた。


「まぁ、そういう人もいるね。

でも、うちは、三つのルールみたいなものを守っていれば、何も言われないよ」


「ルール、ですか?」



詩さんの居る方向を向いた。



「うん。

一つは、優しくて勇ましい思いやりの子であること。
もう一つは、礼儀はしっかりする。

この二つは、親の教育方針。

どんなに、勉強とか他に不得意ものがあるとしても、これだけはきちんとやれって言われるんだ。

それで、最後のひとつは、
これは、絶対、しないでくれって言われてることなんだけど――。


 親より先に死ぬ、親不孝はしない。


これだけは、何がなんでも守ってくれって――。


そういう考えの持ち主の二人だからね。

それに、この世に自分と全く顔も性格も何もかも同じ人がいたら、そっちの方が気持ちが悪いと思うって言ってて、私も共感した。

それに、自分と違う人いる方が当たり前、だからこそ、同じところがあると嬉しかったり、話が合うとその人といて楽しくなる。

だから、千歳が誰が好きであろうと、
千歳が選んだ相手にケチをつけたりする人はここには居ない。

それに、千歳を信じてるから――。
うちにはルールがある、それを守ってくれたり、許容できる人をつれてくるって――。

実際に、そういう人を連れてきてる」



千歳があんな風に育つのが分かる。

それに、とっても暖かい人達だ。



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