[BL] ずっと君の側に
「今、思ったんですけど、雰囲気的に、綾音さんと結愛ちゃんと瑠美ちゃんは加奈子さん似で、詩さんと千歳は、秀太さん似なんだって、感じがしました」
「すごいね、名前全部覚えたんだ。
私なんか、全然覚えられなくて、大変」
「そうですか」
お互いに笑っていた。
そのあと、詩さんは、遠くを見据えながら、語り始めた。
「千歳はさ、ギャップがある子なんだよ。
それは、あの子の良さであり、コンプレックスでもあるんだよ」
「コンプレックスですか?」
ゆっくり、頷いた。
「あの子は勘違いされやすい。
小綺麗で、好青年な役を演じることが多いからか、そういう、イメージがついてる。
でも、あの子は、そんなんじゃない。
口は悪いし、変態的で、不思議な考え方があるから、そこのギャップに引いてしまう子がいた。
だから、あの子は、傷つけられて、裏切られてきた。
『高校に入ったら、恋愛なんてしない』
っていってた奴が、好きな子が出来るとは思ってなかった」
「そうなんですか?」
「うん、イメージと違うとか、そんな人とは思わなかったとか、言われたみたいでさ。
相手のことも知ろうとせずに、自分の理想を押し付けられて、ろくな奴がいなかった。
だから、安心したんだよ、君の千歳を思う気持ちを聞いて――」
遠くを見据えていた眼差しが、俺の方を真剣に見つめていた。
「詩さんは、千歳のこと、大好きなんですね」
「そうだね、この世でたった一人の弟だから――。
それに、あの子は騙されやすいけど、
何でも抱え込むで、平気なふりをするのは得意だから――。
あの子のこと、しっかり見ていてあげてね」
「はい」
千歳を小さな頃から愛している人達には、敵わないかもしれないけど――
俺は、俺なりに、千歳を愛し続けたい。
「あっ、二人ともここにいた。
母さんが飯出来って」
千歳が呼びに来てくれた。
「それじゃあ、行きますか」
「そうですね」