[BL] ずっと君の側に
第二回
知らなかったこと
あれから、何日か過ぎたある日の出来事
その日は、千歳は、仕事だからといって、帰りのホームルームに出ず、授業が終わると直ぐに教室を出ていった。
俺は、ゆっくり帰りの準備をして、のんびりと帰ろうとしたとき。
学校の正門がなにやら、騒がしかった。
『ねぇ、あれって』
『俳優の京極秀太だよね』
『私、京極さんのシングル買ったよ』
京極秀太って、千歳の――。
よく見てみると、
真っ青なスポーツカーを停め、黒のジャケットやワイシャツをビシッと着こなし、車に寄りかかっている、秀太さんの姿があった。
「秀太さん」
俺の声に気づいたのか、こちらを向いて、目があった。
「あっ、政晴君」
秀太さんは、大きく手を振った。
俺に用事があるのかと思いながら、近づいていった。
「どうして、ここに?」
「話したいことがあったんだけど、ここじゃあ、ちょっとね。
これから、時間ある?」
「はい、丁度、どうしようか。
考えていたところで」
「それなら、良かった」
そういうと、助手席のドアを開けて――。
「場所を変えて、話そう。
さぁ、乗って」
「分かりました」
俺は、言われるがまま、助手席に乗った。
「じゃあ、閉めるよ」
助手席のドアを優しく閉め、運転席に乗り込んだ。
「それじゃあ、出発するね」
車に乗って、どこへ行くのか、考えていた。
秀太さんは、安全運転で心地いいから思わず、ウトウトしてしまう。
「着いたら、起こすから寝ていていいよ」
「いや、平気です」
「そう」
何故だろう、あんまり親しくない人の前では寝たことないのに、どうしてこんなに眠いんだろう。
でも、安心して、寝てしまいたくなる。
親子だけあって、同じ雰囲気だからかな。
そのあと、俺は、いつのまにか寝てしまっていた。