[BL] ずっと君の側に
 

 その時、夢を見た。



それは、制服を着た俺。



『秀太』



と大きな声で呼んでいた。



『太陽、待てって』



と、追いかけてくる秀太さんの姿だった。




秀太さんとは、二回しか、顔を会わせていないはずなのに――、


夢の中では、ずっと前からしていたような懐かしい感覚に浸っていた。



それに、太陽って何処かで聞いた覚えのある名前だ。


でも、誰だったけ――。





――くん。



政――。



政晴――。





「政晴君」


「あっ、秀太さん」


「よく寝てたね、着いたよ」



車から出て、背伸びをした。


それから、周りを見渡すと、月に一度は来る場所だった。



「どうしてここ――」


「行こうか」



先に行く秀太さんの背中を追いかけて、
俺もその場所へと足を運んだ。






そして、着いた場所は――。



『戸崎家之墓』



と書かれた、お墓の前



「どうして、ここを知ってるんですか?」



秀太さんは、悲しげな表情を浮かべながら――。



「やっぱり。
太陽(タイヨウ)と円(マドカ)ちゃんの子供だったんだね。

ホント、太陽と瓜二つだ」



秀太さんは、今にも泣きそうな顔で笑っていた。


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