最初で最後のプロポーズ


「おかえり…」

「・・・・」


…バサッ!!





そっか…またか……





彪雅が帰ってくる時は決まって

アタシを求める時だけ

ううん。

アタシの身体を求める時だけなんだ。




こうやって重なる度にアタシは泣いた

このsexに愛なんかない気がして

その度に彪雅は




「珠愛…別れる?」





そう繰り返し聞いてきた





それでもアタシは彪雅といたくて


愛されてなくても一緒にいたくて


嫌だってワガママを言い続けた…




そんなアタシを最後はギュッと

抱きしめて




「ごめんな…愛してる…」



って彪雅が言ってくれるから




その言葉が嘘だったとしても良かったんだ

“愛してる”って言ってくれるだけで



それだけで幸せだった…
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