桜舞い散るとき、キミは涙する
私!?
「は、はいっ」
驚きのあまり、おもいきりうわずる声。
ドキドキと脈打つ心臓がうるさ過ぎて、全然平静が保てない。
「昨日俺と会ったこと……覚えてますか?」
「はいっ。お、覚えてますです」
おまけに緊張マックスで、日本語までおかしくなる始末。
昨日に引き続き、恥ずかしいことこの上ない。
「え~っ。やっぱ彼女待ってたんじゃん」
「あの子誰?ずる~い」
野次馬軍団から、一斉に鋭利な視線が突き刺さる。
嫉妬に満ちた嫌味たっぷりの言葉も、いやでも耳に入ってきてしまう。
「あのさ!こんなところじゃなんだから、近くのお店でお茶でもしながら話したらど~かな~……なんて」
気を利かせたのか、はたまた興味本位からなのか。
困ったように立ちすくんだまま、なかなか話が進まない私達の間に、佳奈が割って入って来た。
「え!?ちょっと佳奈っ」
まさかの佳奈の提案に、慌てて制服の裾をグイグイ引っ張る。
そんな私に佳奈は目配せするようにパチンとウインクすると
「いいからいいから、行ってらっしゃい」
強引に私達の背中を押したのだった。