桜舞い散るとき、キミは涙する
どうしよう……。
ただならぬ雰囲気に、どうしたものかと戸惑ってしまう。
悩んだ末、私はイスから立ち上がると
「あの……、鞄……」
床に落ちたままになっていた鞄を拾い、清水君へ差し出した。
「あ……っ。あぁ、すみません……!」
ハッと我に返った清水君が、慌てて鞄を受け取る。
それでも信じられないとばかりに、何度も目をパチパチさせている。
そう。
まるで、この世のモノではないモノに会ったみたいに……。
「いや、そんなわけないよな。ミオちゃんはもう……」
「清水!!」
っ!?
清水君が言いかけた言葉を、突然彼が遮る。
しかも今までの穏やかな口調とは違う、強めの声で。
「悪い。でも、その話はもう……」
「そ、そうだよな。こっちこそスマン」
気まずい空気が一気に漂う。
「じゃあ、また学校でな」
清水君は私に軽くお辞儀をすると、そう言い残し、そのままお店を出て行った。