桜舞い散るとき、キミは涙する

清水君はあの時、なんて言おうとしたのかな……。


聞きそびれてしまった言葉が、なんとなく引っかかる。

それに、彼の態度も。



『ミオ』のことになると、途端に崩れるポーカーフェイス。


いや、むしろ『余裕がなくなる』という表現のほうが合っているかもしれない。


知りたいけど、聞くのが怖い……。


聞いた途端に、冷たく突き放されてしまいそうで。



重くなった空気を察したのか


「すみません。さっきのヤツ、俺の友達で」


彼が再び申し訳なさそうに、軽く頭をさげる。


「いえ……。でも、あの……っ」

「アイツの言ってたこと、気にしないで下さい」

「え……」


言いよどむ私の言葉を、やんわりと彼が遮る。



これってばやっぱり。

これ以上聞くなってことだよね……。



彼との距離は、わずか1メートル。


なのにその間には、目には見えない分厚い大きな壁があって。



べつに、好意を持たれてたわけじゃないって、わかってたはずなのにな……。


それでも少なからずどこか浮かれていた私に、改めて現実を突き付けられたようで。


どうしようもなく、胸が苦しい。


今すぐにでも泣きたかった……。
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