桜舞い散るとき、キミは涙する

「あ……」


私の言葉を聞いた途端、見開かれていた彼の切れ長の瞳が、一瞬にして絶望へと色を変える。


こんな悲しい目をした人、初めて見た……。

それに、手も……。


ずっと私の腕をつかんだまま離さない彼の手。

その手が更に冷たさを増している。


年の頃は落ち着いた雰囲気からして、17歳の私よりも2つくらい上だろうか?


19歳といえば学生の可能性が高い。

普通ならまだまだ青春真っ只中で、毎日が楽しいはずなのに。


けれど彼からは、若者特有のその輝きが微塵も感じられなかった。
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