桜舞い散るとき、キミは涙する
それ以上何も言えなくなってしまい、俯くことしかできない。
そんな時、テーブルの上に一枚の小さな紙が差し出された。
メモ用紙?
置かれた紙に視線を向ける。
『保志大和』
そこには、男性の名前と連絡先がキレイな字で書かれていた。
やすし……だいわ……?
珍しい名前だな。
「改めまして。俺、保志大和(ホシ ヤマト)っていいます」
ほし……やまと!?
そういえばさっき清水君が、彼のことを『やまと』って呼んでたっけ。
うっかり声に出さなくてよかった。
危うく、自分の漢字能力の低さがバレるところだった。
「わ、私っ、真咲実紅です!高校2年生!」
慌てて私も自分の名を名乗る。
ついでに年齢も。
「高校2年?じゃあ俺と同じだ」
同級生!?
大人っぽいから、てっきり3年生かと思ってた。
同級生。たったそれだけのことが、なぜだかすごく嬉しい。