桜舞い散るとき、キミは涙する
◇責任という名の優しさ

* * * * * *


その日の夜。

案の定、早速佳奈から電話があった。



「え~っ!?それってば、絶対脈ありじゃん!」


話の一部始終を聞き終えた佳奈が、興奮気味に声を上げる。


脈ありって……。


「だーかーらー、さっきも説明したけど、ただ単に責任感じて謝りに来てくれただけだから」

「え~……?でもさでもさ、いくら責任感じたからって、普通わざわざ知らない相手の学校まで訪ねて来るかなぁ?」

「保志君はすっごくマジメで律儀だから、普通の人とは違うの!」

「なになに~?やたら秀才君の肩持つじゃん」

「っ!そんなことないもん」


保志君のことを『秀才君』と呼びながら、佳奈がいぶかしげに絡んでくる。


ちなみに『ミオ』に関するくだりは、先日同様佳奈には内緒。


そんなことまでうっかり話したら、きっと佳奈の妄想癖が更に暴走するに違いない。



「でもまぁ、秀才君はともかくとして。実紅は秀才君のことが好きなんでしょ?」

「は……?」


好き!?


「だって、実紅が男の子に対してそんな積極的な態度とるの初めてじゃん」

「う……」

「普通気がなきゃ、わざわざ自分から連絡先なんて教えないでしょ。特に実紅は」

「それは……っ」


佳奈のあまりにも的を射た言葉に、返す言葉がみつからない。


「ほら~、やっぱりね~」

「ち、違うもん。べつに好きとかそんなんじゃないってば」
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