桜舞い散るとき、キミは涙する
ケガをさせた、責任ゆえの優しさ。
そして行動。
そうだよね。
保志君が私に興味があるなんて、そんなことあるわけないよね。
だって……あまりにも住む世界が違う人だもの……。
度重なるショックに、自然と口が重くなる。
しばらく黙ったまま俯いていると
「あ、土曜の診察は午前中だけでスタッフはもういないから、心配しなくても大丈夫だから」
すかさず保志君がフォローを入れてきた。
どうやら不安がっているのだと勘違いされてしまったようだ。
相変わらず優しいな。
けれどその優しさが、今の私には、かえって辛い。
優しくされればされる程、どうしたって期待せずにはいられないから。
沈んだ心のまま、保志君の案内に従いクリニックへと入って行く。
誰もいない……。
診察時間外の照明が落とされた薄暗い待合室を通り抜け、細い廊下を進む。
そして、すぐさま現れた『診察室』と書かれた部屋の前で立ち止まった。